大宮地域南東部、久慈川に玉川が合流する地点に程近い標高50mほどの久慈川西岸の台地 下村田字坪井上にある、縄文時代中期を中心とした、奈良・平安時代までの複合遺跡です。
耕作中に発見された遺物により、以前から縄文時代中期の拠点的な集落であることが予想されていましたが、平成5年から8年までに、ショッピングセンターの建設にともなう発掘調査が二次にわたって行なわれ、縄文時代の住居址19、袋状土壙75、弥生時代の住居址2、古墳時代の住居址10などが報告されています。
坪井上遺跡を代表する遺物は、国内最多 8個の出土数を誇る硬玉製大珠(こうぎょくせいたいしゅ)です。”硬玉”とはヒスイのことで、遠く富山県に接する新潟県糸魚川地域から運ばれてきたと考えられています。坪井上遺跡からは、火焔土器の別名で知られる新潟地域特有の縄文土器 馬高(うまたか)式土器も出土しており、研究者から注目されています。
常陸大宮市歴史民俗資料館大宮館の常設展示で、硬玉製大珠6個と馬高式土器、そのほか坪井上遺跡出土の縄文土器を見ることができます。
(参考/発掘調査報告書『常陸大宮坪井上遺跡』大宮町教育委員会 1999)