百観音

ひゃくかんのん

 百観音は、常陸大宮市内緒川地域の那賀地区、川向男体山(かわむこうなんたいさん)の中腹にある洞窟内に安置された石仏群。現在は公園として整備されており、森林浴を楽しみながら見学することができます。

 『緒川村史』によれば、この百観音は文化6年(1809)、那賀在住の小森清蔵という盲人が、地域の有志から浄財を募って、諸国の有名な観音像を彫ったものであると伝えられています。夏でも冷気に満ちた高さ150cmほどの「観音洞窟」の中に、約40体の観音像が安置されており、だんだん狭くなる最奥部には金剛界大日如来が鎮座しています。ほかにも山内各所に観音像があり、総数で百体あるといわれています。春秋2回祭日があり、かつては近郷近在の参拝者で賑わったそうです。

 百観音のある川向男体山は岩山で、採掘坑のような穴を数多く見ることができます。これらの無数の穴は、火打石となる瑪瑙(めのう)を掘ったものとも、佐竹氏が金を採掘した跡ともいわれています。今でも、瑪瑙片は地内に多く散乱しており、『新編常陸国誌』にも、瑪瑙の産地として「那賀」の名があがっています。観音洞窟も瑪瑙などの採掘坑を利用して作られた可能性があります。

(参考/広報 常陸大宮 平成17年6月号「ふるさと見て歩き 2」)